チェコのビールとお酒の話

私もパートナーも飲酒習慣がなく、また彼がビールが好きではないので、これまでチェコにいながらビールを飲む機会があまりなかった。しかし最近、9月にある撮影で共演してから親しくなった友人と時々飲みに行くようになった。

チェコにはピヴォヴァル(Pivovar)と呼ばれる自前の醸造所を有するビアバーやビアレストランが数えきれないほど点在している。最近は小さな醸造所がますます増えているそうなので、月に一軒ぐらいのペースでピヴォヴァルめぐりをしてみるというのもおもしろそうだ。

私は昔から「ああ、ビールが飲みたい。」とか、「これを食べたらワインが飲みたくなる。」などといった感覚を抱いたことがない。だからか、普段はアルコールのことをすっかり忘れて暮らしている。お酒を飲む人とともに食事や飲みに出かけた時だけ「では私も何か飲もうかな。」となる。普段の食事の際に飲むのは水が一番いい。

日本にいた頃は一人で飲みに行くこともあったが、思い返してみると、一人で静かな時間を過ごしたくて出かけていた気がする。カフェでしばし静かな時間を過ごすのと同じように、バーでぼんやり妄想に耽ったり読書をしたりしていた。

そして、私は昔から自宅ではまったく酒を飲まない。というか、自宅では飲みたくならない。以前にも書いたけれど、自宅に人を招くのがあまり好きではないのと同じように、アルコールも持ち込みたくないのだ。おそらくこれはもまた、私の潔癖症じみた性質なのだと思う。

チェコは、一人当たりのビール消費量が世界で最も多い国。そしてまた、ピルスナー発祥の地でもある。ホップの苦みと香りがしっかりと感じられるチェコのビールは私の好みに合うものが多い。これから少しずついろいろなビールを試していこう。

プラハ市民会館 – Obecní dům 見学ツアー

昨日からプラハに滞在されているお二人をご案内しながら、私自身も久しぶりにプラハ観光をしている。今日は午後から音楽博物館を訪ねた後、プラハ市民会館(Obecní dům)へ。

プラハ市民会館は世界的に有名なアール・ヌーヴォー様式建築。実は、私自身も内部を見学したのは今日が初めてのこと。内部はガイドツアー(英語・チェコ語)に参加して見学する。日本語で書かれたパンフレットの貸し出しもある。

チェコを代表する芸術家たちが手がけた美しい絵画や装飾を見ながらガイドの熱心な説明に耳を傾けていると、この地に生きた・生きる人々の思いが胸に迫る。

 

スラドコフスキー・ホール(Sladkovský Hall)はプラハ市民会館の中で唯一の装飾が成されていない部屋。 しかし、職人が手作業で作り上げたというシャンデリアやカーテンが美しい。チェコのジャーナリストであり政治家でもあったカレル・スラドコフスキーの名が付けられている。

Sladkovský hall of Prague Municipal House

チェコの国樹である菩提樹の装飾が施されたリエガー・ホール(Rieger Hall)には、画家マックス・シュヴァビンスキーの壁画がある。描かれているのは作家ヤン・ネルーダや画家ミコラーシュ・アレシュ、作曲家のベドジフ・スメタナアントニーン・ドヴォジャークなどのチェコを代表する芸術家たち。

Rieger Hall of Prague Municipal House
The painting in Rieger Hall of Prague Municipal House

プラハ市民会館の中で最も有名なのはアルフォンス・ムハが手がけた市長の間(Mayor’s Hall)だろう。『スラヴの連帯』と題された丸い天井画を囲むようにして、壁には8人の歴史的人物と、民族の歴史や独立に向かって毅然と立ち上がる青年の姿などが描かれている。ムハはこの部屋の装飾を無償で引き受けたという。

Mayor’s Hall of Prague Municipal House, all the work of Alfons Mucha
“The Slavonic Concord” painted by Alfons Mucha : the ceiling painting in the Lord Mayor’s Hall, Prague Municipal House
Murals by Alfons Mucha in the Mayor’s Hall, Prague Municipal House
The chair decorated by Alfons Mucha in the Mayor’s Hall, Prague Municipal House

19世紀に活躍したチェコの歴史家・政治家フランティシェク・パラツキーの名が付けられたパラツキー・ホール(Palacký Hall)。壁と天井の絵は画家ヤン・プレイスレルによるもの。穏やかな田園風景とくつろいだ様子の人々、入浴する女性や白馬に乗った男性などが描かれていて、地上の楽園を連想させる。

Palacký Hall of Prague Municipal House

市民会館建設の主唱者、市民連盟のために作られたグレーグル・ホール(Grégr Hall)の装飾は画家フランティシェク・ジュニーシェクによるもの。壁と天井に広がる寓画には人の生から死までの物語が描かれている。部屋名はジャーナリストであり政治家でもあったユリウス・グレーグルから付けられたそう。

Grégr Hall of Prague Municipal House

アール・ヌーヴォーとアナトリア美術に触発されたという東洋の様式が調和するオリエンタル・サロンは、チェスやカードなどのゲームを楽しむための空間として作られたそう。テーブルや棚などの調度品にもユニークかつ丁寧な細工が施されている。

Oriental Salon of Prague Municipal House

面積14.3㎡という小部屋は、チェコの女性作家ボジェナ・ニェムツォヴァーに敬意を表して作られた女性用の休憩所だという。角にはモザイクによって装飾された噴水があり、窓際には小さなテーブルと椅子が置かれている。

Small fountain in Božena Němcová Parlour of Prague Municipal House

漆喰の壁と天井に施された装飾がまるでお菓子の上のクリームデコレーションのように見えることから「コンフェクショナリー」と呼ばれる休憩室。大理石と鏡がふんだんに使われている室内は明るくてスタイリッシュな印象。映画の撮影などにもよく使用されるのだとか。

The ladies’ parlour called “Confectionery” in Prague Municipal House

最後に見学したのは、プラハ交響楽団の本拠地スメタナ・ホール。ステージ上にある世界最大級のパイプオルガンの真ん中にはベドジフ・スメタナの横顔が。天井には採光窓が設けられていて、豪華な装飾が施された空間には美しい色と光が降りそそぐ。

Smetana Hall, represents the largest area of Prague Municipal House.

煌びやかな装飾が施されたプラハ市民会館のファサード。美しいモザイク画のちょうど真下にあたるバルコニーのある部屋が、アルフォンス・ムハがすべての装飾とデザインを手がけた「市長の間」。

Prague Municipal House’s facade

ご一緒した女性はアルフォンス・ムハが大好きだという。そこで「ここのメニューにもムハの絵が描かれていますよ」と市民会館内のアール・ヌーヴォー・カフェへ。甘さ控えめのチョコレートケーキがウィーンで食べたものよりも口に合うと喜んでもらえた。

Art Nouveau interior decoration of Kavárna Obecní dům
The menu book of Kavárna Obecní dům

ヴィノフラディ地区を歩く

今日はあるエージェントを訪ねて久しぶりにプラハ10区方面へ。用事を済ませた後は特に急ぐ予定もなかったので、帰りはいつも通りのんびりと散策。普段あまり足を運ぶことのない地域を歩くのは楽しい。

ふと目をやった建物の壁に記されていたのはアントニーン・ドゥヴォジャーク(Antonín Dvořák)の名前。といっても作曲家ではなくて、建築家のドヴォジャークだ。彼はこのヴィノフラディ(Vinohrady)地区に建ち並ぶ数々の美しいアパートを設計し、街づくりに大いに貢献した人物。

給水塔も美しい。

美しいアール・ヌーヴォー様式の建物はヴィノフラディ劇場(Divadlo na Vinohradech)

今日は陽が傾いてからも暖かくて、外を歩くのにちょうどいい気候。行きがけにはトラム事故のため大幅にルート変更することになったこともあり、思いのほかよく歩いた一日。

 

プラハのスーパーマーケットでおにぎりを発見

パートナーが近所のスーパーマーケットAlbertでおにぎりを買ってきた。

ちょうど最近、チェラーコヴィツェ(Čelákovice)に住む友人からも「Albertでおにぎりを見つけたよ!」と聞いたばかり。

中身は、唐揚げ、梅干、枝豆、キムチ、ツナマヨ、肉と山葵の6種類。お値段は一つ50czk(薬250円)。中のご飯はインディカ米でちょっと固めの様子。

実は、これが人生初おにぎり体験だったパートナー。「中の鶏肉が大きくて、お思っていた以上にお腹がいっぱいになった」と満足しているようだったけれど、これで50czkはちょっぴり高いかな?という感じ。

私が暮らしているエリアには他に日本人はいないと思うし、アジア系の人たちも少ないので、果たしてこのおにぎりがどこまで売れるのか、そして、いつまで販売されるかが気になるところ。

そういえば、最近すっかりお洒落な最先端エリアになりつつあるプラハ7区ホレショヴィツェ(Holešovice)には、「おにぎらず」の店(その名もOnigirazu!)がオープンしていて、いつ見ても割と繁盛している。メニューはすべてベジタリアン仕様で、米の野菜サンドイッチという感覚でウケている様子。

そのうち一度試してみようと思う。

 

チェコのジャーナリストJanek Rubeš が案内するプラハおよびチェコのローカル情報チャンネル『Honest Guide』。こちらでも最近、プラハ7区レトナー(Letná)~ホレショヴィツェ界隈が紹介されていた。

 

 

 

 

オペラ『Don Giovanni』とプラハのモーツァルト

本日はプラハの夏の定番、エステート劇場にてモーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』を鑑賞。

ドンナ・アンナ役のソリスト金城由紀子さんが特にすばらしかった。オッターヴィオ役のJosef Moravecさんによるアリアもとても良かった。

この劇場でモーツァルトが『ドン・ジョヴァンニ』の初演を指揮したのは231年前のこと。初公演を大成功で終えた際、モーツァルトは「私のプラハ市民は、私を理解してくれている!」と言ったという。

ウィーンにおいて彼のオペラは不遇に見舞われ続けたが、プラハでは熱狂的な支持を得た。モーツァルト本人もその喜びを友人宛の手紙に書き残している。

プラハはモーツァルトにとって嬉しいことの多い街だっただろうし、プラハにとってもモーツァルトは特別な音楽家だと言えるだろう。

この街に辿り着いて以来、さまざまな時と場所でふと彼に思いを馳せている。彼の目や耳や肌は世界をどのように感じていたのだろうかと想像している。

「天使の山」という名の地へ

今日は、プラハ在住のもう一人のRyokoさんと一緒にアンディェルスカー・ホラ(Andělská Hora=Angel Mountain)という名の小さな村を訪ねた。

エンジェルカードを通して不思議な出逢い方をしたRyokoさんと「天使の山だって!一緒に行きたいですね!」なんて話していたのはちょうど一年前のことだ。

切り立つ丘の上には14世紀後半に建てられたという城の跡が残っている。17世紀には城の研究室でJakob Tenzelという錬金術師が働いていたらしい。周辺では妖精や不思議な生き物が目撃されたこともあるのだとか。

こじんまりとした静かな村の中にはあちこちに花が飾られていて、居心地の良い場所だった。

アンディェルスカー・ホラを訪ねた後は、かつてゲーテやベートーヴェンも滞在したという有名な温泉保養地カルロヴィ・ヴァリ(Karlovy Vary)へ。ランチの後に町を歩き、いくつかのコロナーダで温泉水を飲み比べ。

今回はあまり時間がなかったので町の中心部をささっと歩いただけになってしまったけれど、また改めてゆっくり訪ねてみようと思う。

しばらくぶりにヴィシェフラドへ

今日は全ての用事を終えた後、ふと思いついてヴィシェフラド(Vyšehrad)へ向かった。

スメタナの交響詩「我が祖国」の第一曲「ヴィシェフラド」はこの場所のこと。素晴らしい眺めが楽しめる小高い丘の上の城跡(要塞跡)には数々の伝説と歴史が刻まれている。

聖マルティンのロトゥンダはチェコで最も古いロマネスク建築のひとつ。

プラハの中心部から少しばかり離れたここは、観光客だけでなく、地元の人達の散策場所としても愛されている。 私もまた、この公園でただのんびりと静かに過ごすのが好きな一人だ。

伝説の王妃リブシェとその夫プシェミスルの像。おそらく星々にまで届くプラハの栄光を宣言する姿だろう。

České Budějovice旧市街をそぞろ歩く

スカイダイビングを終えた後は、初めて訪れたチェスケー・ブディェヨヴィツェ(České Budějovice)の町を散策。

旧市街の中心プシェミスル・オタカル2世広場(Náměstí Přemysla Otakara II)はチェコで最も大きな広場の一つ。

広場でひときわ目を引く淡いブルーの建物は市庁舎。優美な装飾が施されたファサードにはドラゴン型のガーゴイルが並んでいる。

プラハやチェスキー・クルムロフのような有名観光地と違って人の姿は少なく、どこもゆったりとして居心地がいい。

広場のすぐそばに建つ高さ72mの黒塔(Černá věž)の上からは、チェスケー・ブディェヨヴィツェの街全体を見渡すことができる。

パートナーの故郷からもそう遠くはないし、2組の友人カップルが最近この町に引っ越したので、また改めてゆっくり訪れるつもりだ。

 

英語版チェコ語テキストとの出逢い

私が日本で買ってきた日本語版チェコ語教材は、正直なところページを捲るのも苦痛に感じるほどで、なかなか勉強が進まなかった。

しかし、一昨日近所のショッピングモールの交換図書棚でパートナーがたまたま見つけた英語版テキストは、パラパラ捲って見ているだけでもおもしろい。つい読み込んでしまうので、きっと私にはあっているのだろう。

教材との相性というのはあるだろうし、メソッドの違いもあるだろう。愉しく学べる方法は人それぞれだから、自分の感覚にあうテキストや手法を見つけていくことは語学習得の速度と深度に影響するように思う。

いずれにしても継続することが不可欠だけれど、苦痛が伴う方法よりも、楽しめる方が続けられる。

中高校時代を思い返してみると、学校の英語教材はおもしろくなくてほとんど読まなかった。学校では長文読解のクラスだけが楽しみだった。

自分で英語長文の本を探しきては辞書を片手にひたすら訳していくのが楽しかった。他の教科の授業中もそればかりやっていた。英和辞書を読むのも好きだった。

そういえば、英会話教室で使われていたテキストも表記は英語のみだったと思う。

日本語版のチェコ語教材は説明が頭に入りにくくて読むだけで苦痛だったけれど、実は昔から(英語学習の教材についても)同じように感じていたのかも、と気づいた。

苦痛を伴うことは身につかなくて当然だ。頭(理由や思い)がどんなに説得しようと、体(感覚)が嫌なものは嫌なのだから。

「~せねば」というような義務感や押しつけだけでは言語を肉体化するのは難しい。楽しいから、おもしろいから、どんどん身についていく。

なんだって同じだ。

今の私のチェコ語レベルは、挨拶や日常的やりとりなどの超初歩的なことは話せるという程度。聞き取れた単語からネイティヴスピーカーの話す内容を推測できることもたまにあるけれど、こちらから話すことはでない。

「もっと話したい、話せたら楽しいだろう」という好奇心が学習へと向かわせている。

近所のカフェやお店の人たちが、私のチェコ語学習を見守ってくれている。オーダーや支払い時にはパートナーではなく私に話しかけて、考える時間も与えてくれる。そして、私が理解して正しく答えられた時にはともに喜んでくれる。

本当にありがたいし、だからこそもっと話せるようになりたいと思う。

“Milujte se, pravdy každému přejte.”