大きな天使の姿をした雷雲

夕焼けを見るために見晴らしのいい場所へ行こうと、うちから歩いて20分ほどのところにあるプロコップ渓谷(Prokopské údolí)へ向かうことに。西にも東にも不思議な形の大きな雲が出ていて、何度も感嘆しながら森へ向かった。

プラハ市内南西部に位置するProkopské údolíには標高313mの高台があり、いくつかある森の中の坂道を登って辿り着くことができる。

ここでは紀元前2500年頃に人が暮らしていた跡が見つかっていて、ヒルフォート(Hradiště Butovice)があったと言われている。

ちょうど我が家のある辺りに激しい雨が降っているのが見えた。空がまるで生き物のように動くのをしばし眺めていたが、徐々に雷雲が近づいてくるのを感じて急いで下りることに。

雷雲から逃げるように高台を下り、森の中を小走りで駆け抜けた。眠りから覚めたかのように森が唸りはじめ、赤々と燃える空に雷光が走る。畏怖の念と不思議な高揚感が同時に沸き起こり、軽い興奮状態に陥った。

とにかく屋根のある場所へと急ぎ、森を抜けて一般道のバス停にたどり着いた瞬間に激しい雨が降り出した。プラハ空港からそう遠くないこのあたりは多くの飛行機が行き交うのだが、機内からはきっとかなりドラマチックな景色が眺められただろう。

今日はちょっとした儀式を行う日だったのだが(今夜からまたホスティングエンジェルが始まるのだ)、ふとした思いつきで出向いた散策先で、予想外の冒険と言葉を失うほどの眺めを味わった。真っ赤に染まった空の下、雷鳴を聞きながら唸る森の中を2人で走った時間は、記憶に強く残るだろう。

Bílá Horaへ

スター・サマーパレス(Letohrádek Hvězda)の周囲に広がる深い森を抜け、住宅街のゆるやかな坂道を登ると、ビーラー・ホラ(Bílá Hora=White Mountain) に辿り着く。

後に30年戦争へと繋がることになった「白山の戦い」はこの地で起きた。

チェコの歴史における重要な事件の舞台となった場所だが、いつ訪れても人の気配は少ない。

静かな丘の上を吹き抜ける風の音を聞きながら、幾重にも重なるこの国の歴史に思いを馳せる。

ビーラー・ホラ停留所のすぐ側にある勝利の聖母教会(Kostel Panny Marie Vítězné)。入口の門の上には百合の花を手にした大天使ガブリエル。手前の壁には天使のグラフィティが。

The Church of the Virgin Mary the Victorious

同じ名前のRyokoさんと共にのんびり歩いて、たくさん話をした午後。名前だけでなく多くの似た面を持つ彼女と一緒に、今日もまた愉快な共通点を見つけた。今日は空の変化がとりわけドラマチックで、何度も感嘆の声を挙げてしまった。新しいような、懐かしいような、不思議で穏やかな優しい時間。

 

 

Letohrádek Hvězdaへ

今日は、プラハで出会った同じ名前の女性を、六角星の形をした美しいルネサンス城館、スター・サマー・パレス(Letohrádek Hvězda)へご案内することに。

Hvězda Game Reserve, Prague

午前中の雨に洗われた空の青はひときわ眩しく、鳥獣保護区でもある深い森は穏やかに鎮まっている。

The Star Summer Palace, Prague

16世紀に建てられたこの華麗な建物は内部のインテリアもまた美しく、真っ白な漆喰の天井には神話に登場する神々の姿が彫りこまれている。



1階には、星にちなんだ展示が。更に、地下にはチェコの歴史において最も重要な事件の一つであるビーラー・ホラの戦い(Bitva na Bílé hoře)に関する展示が、2階では定期的に様々な企画展示がなされている。

(次の記事へつづく)

夏のTřeboň その2

ローゼンベルク家、シュヴァルツェンベルク家、そしてハプスブルク家の統治下で、中世から発展してきた南ボヘミア州の古都、トジェボニ(Třeboň)。その城(複合施設を含む)は、チェコ国内で最も大きなものと一つと言われている。

State Chateau Trebon

ルネサンス様式の美しいトジェボニ城館。この季節は外も中も花で溢れていて、ひときわ優雅な風情が漂う。

トジェボニの町の中心にあるマサリク広場(Masarykovo náměstí)は、今日もたくさんのバカンス客で賑わっていた。本日はいよいよ以前からずっと登ってみたかった旧市庁舎塔へ。

建ち並ぶ赤い屋根の中から飛び出して見えるのは、聖イリー教会(Kostel Panny Marie Královny a sv. Jiljí)の鐘楼。

旧市街の門の向こうには平野が広がり、森の先には世界で最も大きな池(16世紀に作られた人工湖)ローゼンベルク池(Rybník Rožmberk)が横たわる。

マサリク広場を中心に広がるこじんまりとした旧市街には、かわいらしい色使いの建物が建ち並び、まるでおとぎ話の世界のよう。

旧市街にある聖イリー教会は、日曜日のため残念ながら中には入れず。

この町のことをもっと知っていきたいし、いずれこの町で暮らせたらいいなとも思う。

いつも何かしらの予定があって足を運んできたけれど、次からは周辺の町やお城も少しずつ巡っていこう。もちろん、大好きなこの町へは、すぐにまた来ることになるだろう。

夏のTřeboň その1

プラハから電車で約2時間半。半年ぶりにパートナーの故郷、南ボヘミアの町トジェボニ(Třeboň)へ。

夏のトジェボニは冬とは全く様子が異なり、多くのバカンス客で賑わう。町の中心マサリク広場(Masarykovo náměstí)にもたくさんの人と自転車、そして犬が集まっている。

Masaryk Square, Trebon

激しい雨が通り過ぎた後、Svět=世界という名を持つ16世紀に造られた大きな池の周りをのんびり散策。

The Svet pond, Trebon, the 14th largest fishpond in Czech Republic.

雨に洗われた世界はいっそう色鮮やかで、みずみずしい空気の中を歩いているだけで心身が蘇っていくかのよう。


スヴィエト池の側に建つシュヴァルツェンベルク家の墓地は、まるで教会か城のような豪華な造り。この墓には一族のうち26名が葬られているのだとか。

Schwarzenberg Tomb, Třeboň

トジェボニ城館の周囲には、中世の名残が色濃く残されている。

旧市街のすぐそばには、チェコ共和国国歌「Kde Domov Můj (Where is my home?)」の歌詞を作ったヨゼフ・カエタン・ティル(Josef Kajetán Tyl)が暮らしたという、淡い緑色の小さな家が残されている。

プラハやブラチスラヴァからバカンスに集まったパートナーの友人達や、彼の地元の同級生達と合流し、のんびりながらもよく歩き、よく話し、よく食べた一日。

何度来ても居心地が良くて、いつも優しく迎えられる。訪ねるたびにこの町がますます好きになる。


(次の記事へつづく)